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2010年4月21日 (水)

タフ過ぎるトレイルレース/ OSJ奥久慈50K

OSJ奥久慈トレイルレースについて話が出た時は、
50Kではなく、60K以上ある。
ある有名選手曰く、過酷さはハセツネ以上。
昨年の完走率は50%台。
…と良い話がこれほどまで出てこない大会も珍しい。

しかし、そう言われると自分で出て確かめてみないことには語れない。
というわけでエントリーしてしまった。

標高図を見ると、山切りカットというよりは、極細歯ブラシのようなギザギザの図。
Okukuji_as

これだけアップダウンがあると調べる意味を見出せず、事前の机上予習は放棄。
どうせキツそうなので、逆に知らない方がいいだろうという判断から試走もせず、
ぶっつけ本番の大会となった。

前日エントリーのため、トレイルラン仲間とレース会場の袋田の滝で有名な大子町へ。
会場では「ふるさと特産物フェア」も同時に開催されていて、大子町は軍鶏が名物で、軍鶏バーガー、軍鶏ピタ、軍鶏饅頭(軍鶏の肉まん)、そして鮎の塩焼き、鯨の竜田揚げ、そば…等など普段は食べられない食材を振舞うテントに囲まれて、エントリーしていれば無料で食べられる。もう温泉に入ってこのまま帰ってもいいのではないか?というほどお腹いっぱいで満足。地ビールもあったが、翌日の事もあり飲まなかった。

その後、OSJ代表滝川さんの恒例のブリーフィングタイムで、コース紹介とコースの注意点が伝えられる。そしてブリーフィングの最後に今回距離は58.6kmと伝えられた。この辺は昨年の出場者の話から50kmより長いときいていたので驚くものではなかった。

翌朝は6時スタート。袋田の駅から会場入りするバスが出ており、スタート会場まで40分ほどバスで移動。竜神ダムからスタートとなる。

Okukuji_map


●スタート(竜神ダム)~第1関門(~約12km地点)
昨年の完走率は53.2%。スタートラインに並ぶ隣の人が、そして自分がゴールできないかもしれない。そんな大会に挑もうとしている。はたして、ゴールゲートはくぐれるのか?予定通り6時ジャストにスタートとなった。
DSC00308
(以下、レース中写真提供:あんきもさん)

地形やコースの事を理解していないままのスタート。その先に何があるのか?想像できないまま、ただその場で心拍数を見ながら走るのみ。はたしてどんなトレイルが待っているのだろうか?

スタートしてから3km程はダム沿いのロード。緩い傾斜ながら徐々に登る。一瞬トレイルに入るが、またすぐに長いロードに降りる。民家が点在する緩い登り基調のロードが続き、あっという間に第1関門のに到着。ここでは水のみが出る。
DSC00315

●第1関門~第2関門(竜神ダム)(~約29km地点)
第1関門を過ぎてようやく本格的なトレイルに入る。白木山までの急な傾斜の登りを上りきり稜線に出ると、数えられないほどのアップダウンの繰り返しが男体山から篭岩まで延々と続く。前半30km到達せずして既に脚が悲鳴をあげている。
DSC00316

男体山に行く途中に山仲間のreiさんがハイキングがてらのサプライズ応援。元気をもらい先に進むと道が険しくなり、篭岩まで岩場を鎖やロープで登る箇所もあり、アドベンチャー色の強いコースが出現。これが奥久慈が厳しいと言われる所以か?しかし、稜線の頂に立つと景色が開けて大パノラマが広がり、一瞬苦しさを紛らわせる事ができる絶景ポイントがいくつかある。

途中道に沢が横断していたら、毎回頭に水をかけた。この習慣が良かったのか、熱さでのバテをだいぶ緩和できたと思う。

鎖場や岩場の上りを過ぎるとこんどは沢下りコース。両手両足を駆使して越えていく足場が何箇所もあり、コケで滑りやすくて上手く走れない。ここも無理せず慎重にこなす。沢が終わり、再びスタート時に走ったダム沿い約3kmのロードを逆走する。
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足場も良くなり調子良くいきたいところだったが、ここで急に失速。理由はわからないが、足場の悪い沢沿いの長い下りを慎重に行っていた為、心拍が落ちてしまったからだと思う。心拍が通常より10ほど下がったまま上げられなくなってしまった。せっかくのロードなのに上手く走れない状態が続く。

ダム沿いロードが終わると、道横のダムから竜神大橋までの高さ100mの長い長い長い長い…階段を上がる。東京タワーの展望台までの階段が高さ150mなので、その高さがわかるだろうか。攣りそうになる腿とそして、折れそうになる心を抑えながらゆっくり階段を上がる。関門すぐ手前でリタイヤを誘う階段だ。竜神大橋を走りきり第2関門通過。時間はちょうど11時くらいだった。

竜神大橋は観光地で交通の便が良いだけに、応援も多く元気がもらえる。第2関門にはスポーツドリンクがあり1.5L程給水した。軽量化の為にドリンクの粉を持ってこなかったので助かった。食料とサプリを補給し出発した。


●第2関門~第3関門(釜の平)(~約38km地点)

竜神大橋を過ぎてすぐの集落に入ると、いきなり横断幕のある私設エイドが出現。おばあちゃん達の梅干やたくわん、お菓子など振舞われ、冷たいお茶が用意されていた。こういうのに弱く少しウルウルしてしまった。やはり軽量化の為、今回はサブボトルを諦めてお茶を持ってこなかったので嬉しすぎる私設エイド。お茶が本当に嬉しいんですと、お礼を言ってスタート。

その後すぐに国道沿いの町に出ると、さらにの2、30人はいる私設エイドが再び出現。地元でとれたトマトをいただく。ちょうどここでお昼時となり、補助食を食べようと思っていたが、トマトでお腹が満たされた。そして冷たいお茶をおかわり。

私設エイドでの大歓迎の余韻を引きずりながら町を抜けると、3kmほどの長い上りのロードとなる。ここでも2件ほどお茶とトイレを貸してくれる私設エイドがあり、かけ水を用意してくれている民家、さらに車でバナナを振舞ってくれる応援の方がいて、ハンガーノックはありえないほど胃袋が充実。いつの間にか、自分の中では過酷でストイックでドMなはずのこの大会が、ハートウォームなほのぼの大会になっていた。なんかいいんじゃないの?奥久慈。

ゆるく駆け上がったロードを歩いたり、走ったりしながら進むと約3kmのロードの終わりに東金砂神社がある。方向を示す矢印はお約束のように神社の方を指していた。「で、あれでしょ?長い階段あるんでしょ?」と思いながら鳥居をくぐると、ドーン!と長い階段が目に飛び込んできた。しかも半端無い高さ。このコースディレクターはドSだね。

もう脚の筋肉は限界に来ているので、両手で手すりを掴み、1人綱引きのように腕で体を引っ張るように階段を1歩1歩上った。

階段を制し、東金砂神社の境内前を通過しすると長い林道のスタート。北に15kmほどあるだろうか?

先の神社の階段で心拍が上がったせいか、低かった心拍も復活し林道を調子よく走れた。この先に何があるかは全くわからないが、ここで飛ばさないと後が無い気がしたので走れるだけ走った。

時折会うボランティアの方に、「今●位です」と教えてもらえる場面がある。この段階で70位。おお、距離半分で二桁順位にいる。これで失速しなければ初の二桁ランクインできるかも?二桁順位をモチベーションにダレやすい林道を走った。長い林道の走りやすいスペシャルステージが終わり、道は再び下りになり、道路を走る車の音が聞こえてくると第3関門が近いことが予測できた。

車の行き交う道路沿いを走っていると、遠くに見えるスポンサーフラッグの立った第3関門のテントの手前に異質な白い何かが目に入る。あれは、キティちゃんのぬいぐるみ!まさかと思っていたら、えくんちょさんが応援に。
DSC00319

しかも、blogを見たら途中雨に打たれながらも、ほぼ全員の写真を撮っている。OSJより早い最速のリザルト、ありがとうございます!


●第3関門(釜の平)~ゴール(~約58km)

第3関門でスタッフからのライト所持チェックが入る。そういえば、14時以降に第3関門を通過する人はライトチェックするって昨日のブリーフィングタイムでタッキーが言ってたっけ。14時3分に到着したので、3分前ならチェックを免れたのに。パックの底にあるライトを探すのに手間取り悪戦苦闘。来年出るならチェックを受けない時間に来ようと誓う。(もう2度と出たくない気もするが…)

ここでは嬉しいカロリーメイトとSOYJOYの支給がっあった。お腹が減っていたのと最後の力を振り絞るべく、カロリーメイト1袋を食べながら、第3関門過ぎてすぐの上りをゆっくり歩いた。

しばらく進むと、どこかで見た様な光景にデジャヴュのような感覚を味わうが、そう、ここは第1関門の時に通った場所と重なる区間になるので当然。第1関門が今度は最後のエイドとなっていた。第1関門だった時は水しかなかったストイックなエイドが、今は地元のお土産の饅頭が並べられた素敵なエイドに変わっていた。残すはあと10kmくらい。ようやくゴールが見えてきた…。(しかし、奥久慈はそんなに甘くない事を後で知る)


最初に通過したコースを一部トレースしつつ、小刻みなアップダウンが連続するトレイルを進む。このエリアで数人追い抜いたが、もう今は何位か数えている余裕無かった。しかし、この後背後から何十人も抜かされるという事は無いだろう。初2桁ランクインが見えてきた。

しかし、コースはアップダウンの連続。もう上りは無いよね?…あった。もう無いよね?…あった。を何度も繰り返していた。

そして時計を見るとあと約5kmを残した段階で9時間28分。10時間切りがいけるかもしれない。1つ山を越え、二つ山を越え、時間が9時間45分くらい。もしかしたら10時間切れるかも?と思っていたら、最後の山(月居山)がドカーンと出現し、脆くもその思いは消し去られた。この上りを越えている途中で時間切れだろう。急激にモチベーションが下がったが、今の力を出し切っていたので清清しい気分だった。早くゴールしてコーラ飲みたい。モチベーションはゴール後のコーラに切り替わった。

「最後の登りでーす」と大きい声でスタッフの方が月居山の頂上から声をかけてくれて、最後の力を振り絞り上りきった。あとは下るのみ。ここからは長い石段となるが、既に終わっている脚が笑ってしまい、階段のテンポに上手く合わせることができず、コケないように慎重に下る。

長い階段下りが終わり、袋田のお土産屋通りに出ると、お土産屋さんや地元の方が沿道で手作りのガラガラ(缶に小石?等を入れた鳴り物)を使ったりした多くの声援に元気がもらえた。昨年CCCでシャモニーに降り立った際の町での応援の雰囲気を思い出した。「なんだ、奥久慈けっこう良いぞ!」

さっきまでの苦しみで二度と来るか!と思っていたが、地元の方々の温かい応援を受けると、「また来たいな」と思ってしまう単純な自分がいた。派手なスポンサーフラッグに挟まれた特設コースを抜け、両手を上げてゴール!

Result: 10時間13分52秒 (47位/出走473人)

(なぜか、大子町のHPに総合リザルトが載ってます)


●まとめ:
厳しい大会ときいていたが、終わってみて自分のこれまで参加した大会の中で辛さ、厳しさは上位に入ることは間違い無い。

何がそう思わせるのか?

・連続する急斜面のアップダウンが前半に集中している。
・鎖場、岩場の急登など両手両足を使う場面が複数個所あり、特に女性には厳しい。
・竜神大橋と東金神社の長い階段。
・中盤は、長いロードと林道。ロードはどちらかというと上り基調。
・後半は前半と同じくアップダウンの繰り返し。

しかし、ロードや林道も多くありそこでは走れるので、ずーっと厳しいというわけではない。まだ4月第2週で、シーズン開始すぐの大会で体が出来ていない状態であり、コースの最後にキツいアップダウンが来るので、その印象が最後に強く残るのだと思う。そこに今回は第二回目大会ということもあり、おばあちゃん達の私設エイドが加わり、飴と鞭のふり幅が激しい面白い大会になったと思う。

先日の比較的走りやすい30kmの青梅高水であれ、これまでトレイルラン大会で楽だと思った事は一度も無い。どれだけタフなコースか?自分はどこまで行けるのか?シーズンはじめの度胸試しに出てみて確かめてみるのが一番だと思う。


…というわけで、奥久慈はUTMBのポイント認定大会で、今回完走したのでポイント2点獲得。昨年のCCC出場で得た3ポイントを足すと合計5点獲得。2011年のUTMB出場条件のポイント5点以上とこれまで4ポイントから1ポイントへ上がったが、今回の完走でエントリーに必要なポイントは満たした。あとは抽選のくじ運と状況的に出られるかどうかだけとなった。


 

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コメント

気がつくととってもいいシーンが沢山あったにも関わらず、写真を撮る余裕など全くなくひたすら進んでました。提供出来るものが少なくて申し訳ありません・・・。
私は昨年も走っていたので相当覚悟してましたが、やっぱり奥久慈はきびしぃですね。
でもまた走りたいと思えるのは、完走の達成感もありますが、やはり地元のみなさまの心のこもったおもてなしが苦しい事を忘れさせてくれますね。
また来年も行きたいと思います。
岩場・鎖場は昨年痛い目にあった事もあり、ボルタリングを経験していたのであまり苦労無く登れました。トレイルは経験値も必要ですね。
それにしても、今回は期待していたのですが落ちてきませんでしたね~。(笑)


投稿: あんきも | 2010年4月22日 (木) 01時57分

>あんきもさん
カメラを持っていったんですが、バッテリーが無かったというポカをやらかしてしまい、写真お借りできて助かりました。
山頂の写真は特にアングルもバッチリですよ。
おばあちゃん達が親の田舎の祖母を思い出してグッと来ました。
東京から近いのに、東北でも失われつつある日本の原風景漂う景色が
所々にあり、良い場所だなーと思いながら走っていました。
しかし、リザルトを見るとあんきもさんの爆走っぷりがよくわかり、
辛くも逃れられたのだなぁと(笑)さすが*0代2冠女王恐るべし!

投稿: ランブラー | 2010年4月22日 (木) 14時17分

奥久慈おつかれさまでした!
そしてとても参考になるレポありがとうございました。

飴と鞭のふり幅をこの目で体感すべく、来年エントリーしたいと思います!それにしてもランブラーさんもかなりのDMJですねー
^-^

投稿: YAMAYA | 2010年4月22日 (木) 14時34分

>YAMAYAさん
こんにちは。
自分もDMJですか?まだまだ皆さんのように苦しさを
悦びに昇華できてないです(笑)
しかし、良い大会だと思います。来年は是非!

投稿: ランブラー | 2010年4月26日 (月) 12時25分

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