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2009年9月21日 (月)

UTMB(CCC)レポート③ Chanpex-Lac~Chamonix(GOAL)(98km)

これまでの経過:
第3関門 Champex-Lac/55km/Time 11:14/1043位

既に夜中の21時を過ぎている。朝の10時にスタートしてからここまで
12時間ほど経過。

Champex-Lacの大エイドを出発し、しばらく湖の横を走るコースとなる。
昼間はきっと素晴らしい景色なのだろうが、夜間は真っ黒い水が見えるだけだ。
(昼間の素晴らしい景色はこちら⇒■)

CCCもあと45km無い。
ここから先は標高差700m程の山を3つ越えればゴールだ。
Map03cp_3


自分の体としばし相談。あと残り45km動ける体力はありそうだ。
おんたけ100kで膝をやられていたので、痛みが再発しないよう、
抑え気味できていたが、このまま行けそうだったので、
通常モードにスイッチを切り替えた。

夜間のトレイルになると、ヘッドライトの明かりに照らされているトレイルが
ここがツールドモンブランなのか?奥多摩なのか?
あまり違いを感じない程、どこにでもあるトレイルと化してしまう。

奥多摩との違いと言えば、
・路面にある松ぼっくりがやけに長い事と、
・松ぼっくりの形に似た動物の糞に注意しなければならない事と、
・茶色でやけに長いナメクジが地面を這っている事、
それくらいだ。
このトラップを踏まないよう注意していたおかげか、
程よい緊張感が持続して眠気は全く無かった。

残り3つの山のうち、1つ目の山を登る。
暗闇に続く長い長い登りを越えて、頂上付近の稜線をしばらく進むと、
山頂のチェックポイントである、
Bovine(64km/1978m)に到着。

●Bovine/64km/Time 13:33/787位

夜の23時半を過ぎた。
頂上のエイドで水を補給していると急に体が冷え、手はかじかみだした。
気温は5度以下だったと思う。
暗闇で忘れていたが、やはりここはモンブラン山群付近なのだと気がつかされる。

冷えないよう、HAGLOFS / LIMバリアープルオーバー を着込んだ。
水の補給を終え、甘いネスカフェのコーヒーを飲んでいると、
救護室であんさんが休んでいるのが見えた。
ヤバイ事態が起こっているのか?と一瞬固まった。

救護エリアに入ると、看護師さんが、自分も休みたいのかと
思ったらしいが、友人がいるので話すだけだと伝えた。
話をしていると、怪我をしたわけではないようで安心。
ここまで来たのだから、しばらく休めば復活するだろうと思い、
ゴールで会う事を誓い合い先を急いだ。

しばらくシングルトラックの下りが続く。標高がさがると直に暑くなり、
プルオーバーを脱いで、パックにしまった。

下りになると団子集団が出来ていてなかなか抜かすことができない。
最初は、"Pardon"(すいません)、 "Merci"(ありがとう)
と言って抜かしていたが、世界中から人が集まる大会なのだから、
「通りまーす」「どうもありがとう!」と思いっきり日本語で抜かす事にした。
今時、ドウモアリガトウくらいはどこの国の人も知っているだろう。
日本人が通ったとわかれば抜かされる人も世界大会っぽくて雰囲気が
いいだろうと開き直ったし、状況が限られるだけに日本語でも意味が伝わり、
不思議と道を開けてくれる(笑)

山を下りきると、70km地点の大エイドのTrientに到着。

●Trient/70km/Time 15:02/766位

IMGP0282
深夜1時。ライトアップされた教会の間を抜けるとエイドのテントが見える。
(Trientの昼間の景色はここちら⇒■)

エイド内には80年代の懐かし洋楽ヒット曲が大きな音量で流れていて
パーティー会場のようなムードだ。VideoではYES/owner of the lonely heartが聴こえる。

他にも自分がいた時は、Peter Gabriel/Sledgehammerとか、
Duran Duran/New Moon On Mondayとかが聴こえてきてかなり気分転換になった。
今回のMYベストエイドはここ。

IMGP0279
UTMBの選手は既にスタートしており、Live Trailの順位をプロジェクターに投影しながら
中継をしていた。隣のPCを見ている人に、自分や他人の名前やゼッケン番号を伝えると、
ランキングを調べてくれる。

IMGP0280
IMGP0278
80年代のBGMを聴きながらいつものパターン化した食べ物を補給していると、
山頂で休んでいたあんさんが復活して追いついてきた。
追いついてきた時間を考えるとかなり飛ばして来たようだ。
既に麦のスペシャルドリンク(笑)をどこかで入手して注入していたようで、
いつもの元気を取り戻していた。
おそらく、このままゴールまで行けるだろう。
もしくは自分が抜かされる方かもしれない。
支度が終わり、自分の中で久しく来てなかった"いい感じ"の波が来ているので
先にエイドを出発した。

残り2つ目の山を登る。
距離は5kmで、標高差は700m程と、標高図を見ても同じような形をしていて、
相変わらず、ライトの先には長細い松ぼっくりと動物の糞があり、
先ほどと同じ山を登っているような錯覚に陥る。
(昼間の景色はこちら⇒■

つまらないと言えなくもないが、先ほどと同じだけのキツさを越えれば頂上だと
思えば精神的に楽だった。山頂のチェックポイントであるCatogneに到着。

●Catogne/75km/Time 16:54/729位

深夜3時前。
山頂付近から街の夜景が見渡せて、その綺麗さに思わず声を出してしまった。
こちらの街灯はやけにオレンジ色をしている。
そして下りになり、先ほどと同じように日本語で追い越しを
かけて、最後の大エイドVelocineに到着。

●Velocine/80km/Time 17:54/699位

早朝4時少し前。先のチェックポイントから丁度1時間で到達した。
先のエイドでハイドレーションをいっぱいにしていたので、
ここで水の補給は必要なく、軽く食事をとって短時間でエイドを出た。

エイドから外に出ると付近はまだ暗く、出口付近にはいくつもの焚火が
勢い良く燃えている。
燃え盛る焚火の間を抜けて歩いていると、ここはハリウッドではないが、
ターミネーターのテーマ曲が頭の中で鳴り響いた。
炎を見ると気分が盛り上がるのだろうか?最後の登りに向かって気合いが入った。
こういうちょっとした演出がUTMBの良さだ。

距離7km、標高差870m最後の登りを上っていると、相変わらず速い人に
どんどん抜かされたが、先に抜かした人が立ち止まっていて抜き返す場面も出てきた。
みんなギリギリのところで頑張っている。

IMGP0286
辺りが少し白みはじめ、霧の向こうに見えるのが頂上か?と思いきや、
歩みを進めるとその背後にもう1段高い山のシルエットが見えてくる。
高度計はとっくに頂上の標高なんだけど?
それを何度も繰り返し、なかなか頂上に辿り着かせてくれない。
最後にふさわしく、いやらしい登り道だ。

このあたりにくると、選手同士の間隔が広くなり、
前後に人が見えなくなり、自分1人だけになる瞬間が増えてくる。

早く終わってほしい、早くゴールに着いて欲しいと思いながら
ここまで来たが、この1年程この大会を目指して準備をしてきた月日を
考えると、まだ続いて欲しいという気持ちが強くなり、一歩一歩を大切に
走るようになっていた。
それだからか?昼間のモンブランが見通せる綺麗な景色より、
このガスにまみれたどこの山だかわからないトレイルを走っている光景が
妙に強烈に記憶に残っている。

日が昇りさらに明るくなると、時折モンブラン山郡の山頂のシルエットが
霧の向こうから見えたが、ほとんどがガスに包まれた状態だった。
ここを通過するのは雲が晴れた朝が良いかもしれない。
モンブラン山群を北側から南に向かって見通せる絶景ポイントなはずだ。
UTMBは通過時間を自分で調整して景色を楽しみながらながら走る(歩く)
楽しみ方もある。

霧の向こうからドーム型のチェックポイントが見えてきた。

●La Tête aux Vents/87km/Time 20:14/606位

朝6時15分。
ここが最後の頂上。もうこれ以上の上りは無い。
最後の山にふさわしく、苦しい登りだった。

ここからは下り基調となり、3kmほど進むと最後の小エイド(La Flégère)が見えてきた。

●La Flégère/90km/Time 20:48/572位
IMGP0287

朝6時49分。
LIVE TRAILの端末をチップに当てている時に、ボランティアスタッフが、
ゼッケンの国旗を見て「オハヨウゴザイマス!」と笑顔で挨拶をしてくれた。

UTMBのボランティアスタッフは何日もここで寝泊りしているし、
シフト制だとは思うが、睡眠も十分ではないはずだ。
しかし、何百人、何千人と通過してくる選手達に誰にでも変わらぬ笑顔で
対応してくれる。

あと10km無い地点なのだが、テントの中では8名ほど熱い飲み物を飲み、
暖をとって休んでいた。
甘いネスカフェのコーヒーを飲みたかったが、勢いが乗っているので、
休まず無補給で通過した。

この先はロープウェイ用の作業林道の砂利道をひたすら下ることになる。
砂利道から分岐で再びトレイルに入ると、日本のトレイルに似たシングルトラックで
傾斜の急なトレイルとなる。ここまで来ると走っている人は殆ど見かけず、
ゆっくり進んでいる人ばかりなので、どんどん抜かしていける。
しばらくつづら折のシングルトラックを下っていると、後方から走って来る
数名の話声と足音が聞こえてきた。

これまでは上りでは散々抜かれまくったが、下りでは抜かれた事が無かったので
妙に意地になってしまい、速度を上げて勢い良く下って引き離した。
そして、しばらくすると再び追いついてくるという意地の張り合いになる。

シャモニーのガイドブックには必ず載っている花がたくさんある
カフェ(レストラン フローリア)前を通り過ぎる。
意地の張り合いになってなければ写真を撮っていたのだが、
いつか来る機会があればここに来ようと、立ち止まらずに通りすぎた。

標高が下がり、シャモニーの街が近くなってきた。
目前にトレイルの出口が見えると、ハイドレーションが丁度空になった。
水の減り方を予測できているのは良い状態の証拠だ。

トレイルが終わったので気持ちに区切りがつき、意地の張り合いは終了。
立ち止まり、パックから日の丸buffを取り出していると、
先ほどから追いかけてきた人がこちらを見ながら横を通り過ぎていった。

ロードに出て、見慣れた朝のシャモニーの街を走る。もうゴールは目前だ。
通りすぎる人たちからBRAVO!の声援をもらう。

街の中心街に入ると、日の丸buffが目立つおかげで日本人の応援の方に
気がついてもらい、声援をもらった。
R0016916


そして、ゴール!

●Chamonix(GOAL)/98km/Time 21:48/519位 (出走1866人)

今回は笑顔でゴールゲートをくぐる事が出来た。

レース後のまとめはこちら⇒■


レース中レポートは信越五岳トレイルレース前に書き終えたかった。
大会まとめは後日…

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コメント

トゥリアン!懐かしいです。興奮しています。
実は、前半の失敗から記憶がところどころか、殆ど飛んでいるのです。
モンブランもグランドジョラスも。。。
ですから、ランブラーさんの写真を見て、へぇーこんなすごいところを
歩いていたんだ。。。と感激していたところですが、その中でも、
トゥリアンだけは、はっきりと覚えています。
教会が幻想的で、あれだけは瞼にしっかりと焼きついています。
エイドに着いたのが制限時間の20分前で、かなりやばかったのですが、
ノリノリの音楽、しかも懐メロ!洋楽ファンではないけれど、やっぱり80年代は輝いていた(爆)音楽にノリノリの飲み屋のおねェちゃんみたいなマダムに紅茶を作ってもらいました。ああいうお祭りチックなエイドは見たことがないし、是非、来年、辿り着きたい場所でした。休んでいる間にも、テーブルはどんどん片付けられていき、日本で言えば蛍の光でも流れているような時間帯ではありましたが。
すいません、今頃になって辿り着きました。

投稿: あおちゃん | 2009年11月21日 (土) 00時32分

>あおちゃん
真っ暗な夜のコースは日本もフランスも景色が変わりないですが、
あのライトアップされた教会に辿りついて、あの石造りの建物の匂い
や空気感を感じると、海外レースなんだなぁと再認識させられますね。
どこのエイドでもボランティアスタッフの明るさは元気がもらえて
がんばるか、と思えるので嬉しいですね。

投稿: ランブラー | 2009年11月23日 (月) 15時25分

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